人件費計画・賞与

賞与原資の決め方|業績連動の算定・部門配分・支給までの確認表

賞与原資は、「前年と同じ月数」から始めず、①会社全体の原資を業績とどう連動させるか、②部門へどう配るか、③個人へどう配るか、の三段階を分けて決めます。

あわせて、就業規則・賃金規程の定め、支給日、支給後の社会保険の届出、人件費の着地見込みへの反映までを一つの表で管理します。本記事の成果物は「賞与原資算定表」と「配分・支給確認表」です。

1.規程と過去の運用を確認する

就業規則には、手当・賞与について定める場合はこれに関する事項を記載する必要があります。栃木労働局「就業規則の作成・変更・届出の義務」。原資を決める前に、規程に支給時期、対象者(支給日在籍の要件など)、算定期間、算定方法がどう書かれているかを確認し、規程と運用が違う点を洗い出します。

確認項目内容注意すること
算定期間評価・業績を見る期間と支給月の関係算定期間の途中入社・休職者の扱い
対象者雇用区分、支給日在籍の要件規程と過去の運用が一致しているか
算定方法基本給×月数、等級別の定額、業績連動など規程に業績による増減の余地が書かれているか
過去の実績直近数回の総額・平均月数・業績業績と原資の関係が説明できるか

2.会社全体の原資を業績と連動させる

賞与原資算定表

算定期間/連動させる業績指標(営業利益、粗利など)と見込み・実績/基準となる原資と、その根拠/業績が基準を上回る・下回る場合の増減ルール(上限・下限)/固定部分と変動部分/原資に含める費目(会社負担の社会保険料を含めるか)/年度人件費予算との差/承認者・承認日。

原資に会社負担の社会保険料を含めるかを決めておくと、予算との比較がぶれません。業績連動のルールは、事前に従業員へどこまで示すかも決めます。年度の人件費への影響は人件費の着地見込みの更新表へ反映します。

3.架空例:原資を固定部分と業績連動部分に分ける

以下は顧客実績ではない架空例で、数値は説明のための仮定です。

項目架空の設定計算
対象者の基本給合計(月額)3,000万円—
固定部分基本給の1.5か月分4,500万円
業績連動部分営業利益の計画超過額の20%(上限1,500万円)計画超過額6,000万円 × 20% = 1,200万円
原資合計—5,700万円(会社負担の社会保険料は別に計算)

4.部門と個人への配分を分けて決める

段階決めること確認すること
部門配分人数・基本給比例か、部門業績を反映するか部門間の業務の相互依存。部門業績の差が部門の努力だけで説明できるか
個人配分評価ランク別の係数、等級別の基準額評価の分布が部門ごとに偏っていないか
調整休職・短時間勤務・中途入社者の按分規程どおりの按分か、例外の承認者

評価結果の甘辛は評価会議の進め方で事前にそろえます。個人・チーム単位の成果連動の設計はインセンティブの選び方、昇給原資との関係は昇給予算の配分表で確認します。

5.研究から言えること、言えないこと

Shaw(2014)は、賃金のばらつき(pay dispersion)が業績、離職、態度に与える影響に関する研究をレビューし、その関係が、ばらつきが説明可能な違いによるものか説明のつかないものか、仕事の相互依存の程度、他の報酬制度の特徴などによって変わることを整理しています。原著論文(Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior)。

このレビューは賞与原資の算定方法を検証したものではなく、特定の係数や月数を推奨するものでもありません。本記事では、配分の差を説明できる根拠と、部門間の相互依存を配分ルールで確認する理由として参照しています。算定表・確認表はCareerSync編集部の設計例です。

6.支給と届出を確認する

日本年金機構によると、賞与を支給したときは、賞与支払日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を提出します。標準賞与額は、実際に支払われた賞与額(税引き前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てた額で、上限は健康保険が年度累計573万円、厚生年金保険が1か月あたり150万円です。名称を問わず労働の対償として受けるもののうち年3回以下の支給のものが賞与の対象で、賞与支払予定月に支給しなかった場合は「賞与不支給報告書」を提出します。日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」。

配分・支給確認表

原資の承認/部門配分の承認/個人別支給額の確定と評価結果との照合/規程どおりの按分の確認/給与システムへの登録と検算/本人への通知と説明の担当/支給日/賞与支払届の提出(支給日から5日以内)/支給後の人件費実績の反映。

よくある質問

業績が悪い期は賞与を支給しなくてもよいですか?

規程や労働契約で支給額や算定方法がどう定められているかによって判断が変わります。個別の判断は社会保険労務士・弁護士等に確認し、従業員への説明を事前に準備してください。

部門業績を配分に反映すべきですか?

部門の成果が他部門の協力に大きく依存する場合、部門業績だけで配分すると協働を妨げる可能性があります。相互依存の程度を確認してから、全社・部門・個人の比重を決めます。

まず、直近3回分の賞与について、原資総額と業績指標を一つの表に並べ、両者の関係を説明できるかを確認してください。人員・人件費計画支援では、賞与原資の算定ルールを、評価、昇給、年度の人件費計画とつないで設計します。

出典確認:2026年11月6日。社会保険の届出や規程の解釈など個別の事項は、日本年金機構、労働基準監督署、社会保険労務士等へご確認ください。算定表、確認表、架空例の数値はCareerSync編集部の設計例であり、特定企業の実績ではありません。

この記事はCareerSyncの支援方針・実務上の考え方を整理したものです。個別の顧客事例や成果の報告ではありません。

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