1on1の進め方|話して終わらない議題・記録・次の行動シート
記録には会話の全文ではなく、本人が共有を望む論点、決めた行動、担当、期限、次回確認日を残します。本記事の成果物は、30分の進行表と「次の行動シート」です。
1on1の目的を、評価面談や進捗会議と分ける
1on1で評価、業務報告、悩み相談、育成を全て扱うと、何を話してよいか分からなくなります。日々の進捗は通常の会議で確認し、評価を伝える場は制度上の面談として別に設けます。1on1では、仕事を進めるうえでの障害、判断に迷う場面、経験したい仕事、必要な支援などから、その日に扱う論点を選びます。
CIPDのコーチング資料は、コーチングが1対1の面談や業績に関する対話へ組み込まれることがある一方、管理職と部下の力関係や、情報の扱いを考える必要があると説明しています。本記事では、管理職が日常の支援に使うための実務上の設計例を示します。
面談前に双方が書く短いメモ
| 本人が準備すること | 上司が準備すること |
|---|---|
| 前回から進んだこと・止まったこと | 前回合意した支援を実行したか |
| 今日相談したい論点を一つか二つ | 観察した事実。印象や他人のうわさと分ける |
| 自分で試したことと、その結果 | 本人へ任せられる判断範囲と支援可能な時間 |
| 上司に決めてほしいこと・支援してほしいこと | 評価・労務・緊急対応など別の経路へ移すべき論点 |
事前メモを長い報告書にしません。話したい内容がない週もあるため、開催頻度や長さは業務の変化に合わせます。「毎週必ず30分」より、何を確認する場か、急ぎの相談をどこでするかを合意する方が重要です。
30分で進める議題の例
- 5分:前回の確認。本人の行動と上司の支援の実施状況を確認する。
- 5分:今日の論点を選ぶ。複数ある場合は、業務への影響と期限で一つを決める。
- 10分:事実と選択肢を整理する。何が起きたか、本人は何を試したか、どの判断が必要かを分ける。
- 5分:次の行動を決める。本人が行うことと、上司が提供する支援を一つずつ決める。
- 5分:記録と確認日。共有範囲を確認し、次回または期限前の確認方法を決める。
これは時間配分の設計例です。緊急性が高い問題や安全・ハラスメント等の相談を、通常の1on1の枠内だけで解決しようとせず、社内の定めた相談・対応経路へつなぎます。
質問は、本人の判断を前へ進めるために使う
| 確認したいこと | 質問例 | 避けたい進め方 |
|---|---|---|
| 事実 | どの場面で、何が止まりましたか | 「やる気がないのでは」と原因を決める |
| 試したこと | すでに試した方法と、変化は何ですか | 本人の説明前に上司の正解を伝える |
| 選択肢 | 次に試せる方法を二つ挙げるとしたら | 質問を繰り返して結論を本人だけに負わせる |
| 支援 | 上司が決めること、つなぐ相手はありますか | 権限不足を本人の努力で解消させる |
| 確認 | いつ、何を見て見直しますか | 「頑張る」で面談を終える |
架空例:次の行動シート
以下は顧客実績ではない架空例です。部下が、他部署の確認待ちで提案資料を進められないと相談した場面を想定します。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 扱った論点 | 必要な数値の確認先と期限が決まらず、資料作成が止まっている |
| 確認した事実 | 依頼は送信済み。回答期限と、回答がない場合の進め方を伝えていない |
| 本人の次の行動 | 本日中に必要項目と回答希望日を再送し、暫定値で進められる部分を分ける |
| 上司の支援 | 回答が期限を過ぎた場合、相手部署の責任者との優先順位調整を行う |
| 期限・確認 | 2営業日後に状況を短く共有。未回答なら上司が調整する |
| 共有範囲 | 業務上必要な関係者のみ。個人的な相談内容は記録しない |
記録と情報の扱い
全文の逐語録は、相談をためらわせたり、後から別の目的で使われたりする懸念があります。目的、閲覧者、保存期間、評価への利用有無を社内で決め、本人にも説明します。健康・家庭・人間関係などの個人的な情報は、業務上必要な支援だけを確認し、詳細を広く共有しません。法的・専門的な判断が必要な場合は担当部署や専門家へつなぎます。
AIで記録を要約する場合も、送信されるデータ、保存先、閲覧権限、誤要約の確認者を把握します。本人の同意なく録音・転記する運用を前提にせず、社内ルールと利用サービスの条件を確認してください。
次回の確認チェック
- 本人の行動だけでなく、上司の支援も実行したか。
- 決めた期限や成果物が、実際の権限と業務量に合っていたか。
- 障害が解消しなければ、本人の能力ではなく仕事の設計も見直したか。
- 同じ相談が続く場合、会議・権限・役割の仕組みへ戻して検討したか。
- 記録を必要以上に残していないか。
面談で決めたことを、次回の確認へつなぐ
話した内容をすべて書き残すより、本人の行動と上司の支援、確認日をそろえます。次回は未実施を責める前に、実行を妨げた条件も確認してください。記録・共有の範囲を話し合う欄も用意しています。
白紙の記入欄と架空の記入例を収録しています。ダウンロードして、お使いのメモアプリで編集できます。
メール登録は不要です。ダウンロードしたファイルへの記入内容は、当サイトへ送信されません。
記入しても決めきれない項目がある場合は、概要をもとに相談できます。1on1を現場で続ける支援を見る →
よくある質問
本人が何も話してくれない場合は?
話題の提出を求めるだけでなく、上司が観察した仕事の場面を一つ示し、「進めにくかった点はありますか」と確認します。沈黙を評価せず、急ぎでない内容を後から共有できる方法も決めます。
1on1は人事へ報告すべきですか?
件数や実施状況を確認する運用は考えられますが、会話の詳細を一律に提出させる必要性は別に検討します。支援が必要な事項と、本人との対話に留める事項の境界を明確にします。
任せる範囲の整理は権限委譲のルール、管理職の実践支援は管理職研修を現場で活かす方法も参照してください。
参考資料:CIPD:Coaching and mentoring(2026年10月1日確認)。進行表と架空例はCareerSync編集部による設計例です。
この記事はCareerSyncの支援方針・実務上の考え方を整理したものです。個別の顧客事例や成果の報告ではありません。
