年間の採用予算をどう組む?採用活動費を職種・費目・月に分ける
前年の採用単価×人数だけでは足りません。共通の制作費や、契約済みの費用が見えないからです。ここで扱うのは、募集から入社までの活動費です。入社後の給与とは分けて考えます。手順は4つです。前年実績の並べ直し、職種別と共通費の区分、予備費の別枠化、月別への展開です。
1.前年実績を、今回使える単位に並べ直す
まず前年の支出を費目ごとに分けます。求人広告、紹介、制作、イベント、管理ツールなどです。分けたら、契約書や請求明細と照らし合わせます。支払月だけでなく、どの職種の、いつの募集に使ったかも残します。前年に払った制作費を、今年も必ず出る費用として置かないでください。
「採用単価」を使うときは、対象の費用と人数を一緒に書きます。内定者で割るか、入社者で割るか。共通の制作費を含むか。これで値は変わります。人数が少ない職種や新しい職種に、一つの平均値は当てはめません。予定する活動と見積もりから積み上げます。
2.職種別の費用と、全社共通の費用を分ける
採用枠ごとに、募集開始月、入社予定月、使う手段を書き込みます。広告と紹介を併用するなら注意が必要です。同じ人数を両方で採る計算になっていないか確かめます。媒体や制作を使うと決めたことと、採用人数を達成できる見込み。この2つは別の情報として扱います。
| 予算表の行 | 金額を置く基準 | 一緒に残すこと |
|---|---|---|
| 職種別の広告・イベント | 見積額×利用回数 | 対象職種、掲載・開催月、契約期間 |
| 紹介など成果に応じて払う費用 | 契約上の計算条件×想定件数 | 費用が発生する条件、予定時期 |
| 全社共通の制作・ツール | 制作範囲、月額、利用月数 | 既存契約、更新月、費用を管理する部門 |
| 予備費 | 想定する追加施策の見積額 | 使う条件、承認者、上限 |
共通費を職種へ割り振る場合は、割り振る前の元の金額を一か所に残します。全社で合計するとき、元の金額と割り振った金額を二重に足さないためです。見積もりをまだ取っていない金額には「仮置き」と書きます。取る担当者と確認日も付けます。
3.架空例で、基本予算と予備費の枠を分ける
紹介経由で2名を採ると想定します。説明用の費用を1名80万円とすると160万円です。残る2名の募集では、広告20万円を3回使う計画で60万円です。ここに共通の原稿・写真制作50万円と、ツール月3万円×12か月=36万円を加えます。基本予算は306万円です。
さらに、追加募集用の予備費30万円を別枠にします。承認を求める上限は336万円です。金額はすべて税抜きと仮定した説明用の設定です。市場相場や採用成果を示すものではありません。
広告を契約しただけで2名を採れるとは限りません。応募が想定より集まらないときに備え、判断する日を決めておきます。掲載内容を直すのか、手段を足すのかを、その日に決めます。予備費は使い切る前提の金額にしません。何が起きたら使うかを書いておきます。
4.月別の予算に、契約と社内の作業時間を添える
各費用を、使う予定の月に振り分けます。支払予定は、経理が確認する欄に分けます。年度末に始めた募集では、翌年度も支出が続くことがあります。その場合は契約期間を書いておきます。どの時期の費用として載せるかは、自社の処理方法を経理と確認してください。支払月だけで年度の費用を決めないようにします。
面接、日程調整、原稿確認にかかる社内の作業時間も書きます。担当者と、月ごとの時間を並べます。既存社員の給与を人件費計画に入れているなら、同じ給与を採用活動費に重ねて足しません。作業時間を見ると、予算はあっても動けない月が見つかります。
職種/採用予定数/活動/契約・見積条件/基本予算/予備費/利用月/支払予定/社内の作業時間/承認者。未契約・契約済み・支払済みを区別します。基本予算と予備費の合計が、年度の上限と一致するかも確かめます。
応募から入社までのどこで止まっているかは、採用KPIの決め方で確かめられます。
よくある質問
採用単価は、毎年同じものを使えますか?
比較用に残すことはできます。ただ、職種、手段、含める費用が変わるなら、そのまま予算の根拠にはしません。前年の実績と今回の見積もりを並べ、前提の違いを確かめます。
予備費は予算の何%にすればよいですか?
一律の率を決める前に、想定する対応と金額を書き出します。たとえば追加掲載や、募集期間の延長です。そこに使う条件と承認者を付け、会社の予算ルールに合わせます。
関連する学術研究と実務への適用範囲
Breaugh(2008)「Employee recruitment: Current knowledge and important areas for future research」は、採用研究のレビューです。募集方法、採用活動とその成果に関する研究課題を整理しています。
募集方法と成果を分けて考えるための背景資料です。職種別・共通費用の区分と支出月の表は、予算管理の設計例です。研究から得た標準単価ではありません。
媒体別の普遍的な採用単価や、現在の各サービスの優劣を示すものではありません。本記事の手順・表・記入例は、研究結果そのものとは区別したCareerSync編集部の実務設計です。
この記事はCareerSyncの支援方針・実務上の考え方を整理したものです。個別の顧客事例や成果の報告ではありません。
