人事コンサルティングの依頼書の作り方|提案を比較できる8項目
現在の困りごと、確認できた事実、支援の範囲、成果物、社内担当、期限、費用条件、完了条件の8項目をそろえ、各社へ同じ前提で提案を依頼します。
なぜ「評価制度を作りたい」だけでは比較しにくいのか
同じ評価制度の提案でも、現状ヒアリングだけを含むもの、制度設計と説明会まで行うもの、試行と修正まで伴走するものでは、必要な仕事が違います。金額だけを並べると、実行範囲の差を見落とします。依頼前に、制度そのものが不足しているのか、目標設定や評価の運用が止まっているのかを分けて考えます。
原因が分からない段階で結論を固定する必要はありません。「診断して優先課題を決める段階」と「合意した施策を実行する段階」に区切って依頼する方法もあります。本記事はそのための設計例であり、特定の企業や契約の実例ではありません。
依頼書に入れる8項目
| 項目 | 書く内容 | 避けたい曖昧さ |
|---|---|---|
| 1. 解決したい問題 | どの仕事・判断が止まっているか | 人事を強くしたい、だけで終える |
| 2. 現状の事実 | 対象部署、発生場面、既存資料 | 推測を確定した原因として扱う |
| 3. 支援範囲 | 診断・設計・説明・試行・修正の対象 | 実行も全部含むと思い込む |
| 4. 成果物 | 誰が何に使う資料・ルールか | 報告書一式、だけで指定する |
| 5. 社内体制 | 決裁者、窓口、現場責任者 | 外部がすべて決めると考える |
| 6. 期限 | 判断日、試行開始日、適用時期 | 納品日しか決めない |
| 7. 費用条件 | 予算枠、追加費用の条件、支払条件 | 追加作業の扱いを確認しない |
| 8. 完了条件 | 誰がどの状態を確認するか | 資料が届けば終了にする |
そのまま使える依頼書の記入例
次は、管理職の評価判断にばらつきがある会社を想定した架空の記入例です。人数や期間は自社に置き換えてください。
問題:評価会議で根拠の確認に時間がかかり、部門間の判断基準を説明できない。
確認済みの事実:目標シートの記入形式が部門ごとに異なる。前回会議では、仕事の難易度と達成度を混ぜた議論があった。
依頼範囲:既存制度と記録の確認、共通の評価観点の整理、管理職向け説明、1部門での試行、試行後の修正。
成果物:評価観点表、根拠記録の記入例、評価会議の進行表、例外時の相談経路。
社内担当:人事が資料を集め、部門長が試行を担当し、経営者が運用方針を決める。
完了条件:試行担当者が記録を作成し、会議で判断できた点・判断できなかった点を残し、次回運用の担当と修正事項が決まる。
「評価の納得度を上げる」という目標と、「試行して修正事項を決める」という完了条件は分けます。前者は継続して追う成果であり、短期間の支援だけで必ず達成できると約束させるものではありません。
提案は金額の前に、同じ範囲へそろえる
候補会社へ、依頼書の各項目について「含む・含まない・追加相談」を記入してもらいます。例えば説明会が含まれていても、資料作成だけか、登壇や質疑、終了後の修正まで含むかで実務は変わります。会議回数、成果物の修正回数、現場訪問、データ整理、試行後の支援を確認します。
担当者の経歴は判断材料の一つですが、依頼した課題に対して、どんな順序で情報を集め、誰と何を決める提案かを具体的に尋ねます。「初月に必要な資料は何ですか」「資料がない場合はどう進めますか」「社内の作業時間はどの程度を想定しますか」という質問で、実行条件を確かめられます。
発注前に合意したい変更の扱い
開始後に対象部署や課題が増えることがあります。追加の仕事が生じたときは、目的、担当、期限、費用への影響を整理し、決裁者が判断する手順を決めます。相談窓口と決裁者が別の場合は、窓口の了解だけで範囲を広げないようにします。
社員情報や評価記録を渡す場合は、目的に必要な項目と閲覧者を絞り、共有方法と終了時の扱いを確認します。提案依頼の段階では、個人を識別しない要約や記入例で説明できるかを先に検討してください。
初回相談までに用意する3点
- 最近困った場面を3つ、日時・仕事・困った判断に分けて記録する。
- 現在使っている資料を一覧にし、足りない資料も明記する。
- 支援終了後に社内の誰が何を続けるか、仮の担当を置く。
依頼書を完璧に完成させる必要はありません。確定している事実と、相談して決めたいことを分けるだけでも、提案を比較する土台になります。依頼できる仕事の全体像は人事コンサルティングの支援範囲も参照してください。
よくある質問
課題が分からなくても依頼できますか?
はい。現状の事実と未確認事項を分け、最初の支援範囲を診断と優先順位の整理にできます。実行支援まで一括で決める必要はありません。
依頼書に予算を書くべきですか?
予算枠や判断できる時期を伝えると、範囲に合う提案を比較しやすくなります。追加費用が発生する条件も確認します。
この記事はCareerSyncの支援方針・実務上の考え方を整理したものです。個別の顧客事例や成果の報告ではありません。
